【Codex活用事例】非エンジニアが自分の仕事を作り替える時代|農業・財務・大企業

こんにちは。中小企業診断士のshushu(シュシュ)と申します。

今回は、非エンジニアによる生成AIの活用事例についてまとめました!

最近、AI関連ニュースを収集している中で、Codex活用事例として面白い記事をいくつか見かけました。

Codexといえば、プログラマーがコードを書くためのAIというイメージが強いかと思います。

ところが記事を読んでみると、北海道の農家がビニールハウスの管理システムを作ったり、財務担当者が月次業務を自動化したりと、プログラマー以外の活用事例が増えているようです。

「生成AIを使えば誰でもDXできる!」とまで言うと大げさですが、仕事の仕組みを自分で作れる人が増えているのは確かでしょう。

そこで今回は、農家、OpenAIの財務担当者、NTTデータグループの3事例を比較しながら、非エンジニアの仕事がどう変わっていくのか考えてみます。

それではどうぞ!

こんな方におすすめ!

・生成AIを仕事で使ってみたい方
・毎週、毎月の定型業務を効率化したい方
・Codexはエンジニア向けだと思っている方

今回取り上げる3つの事例

事例主な利用者作ったもの・任せた仕事公表された成果
①北海道の農家農場長ハウス管理、翻訳、作業記録外注より低コストで現場向けシステムを自作
②OpenAI財務財務担当者コスト配賦ダッシュボード月5営業日から約5時間へ短縮
③NTTデータ約9,000人の社員(非エンジニアを含む)Excel分析、旅費申請、レポート作成、定型操作などエンジニア領域の成功を起点に全社へ展開

①②は、非エンジニア個人が自分の業務を作り替えた事例です。
一方、③NTTデータは、エンジニア領域で生まれた成功事例をきっかけに、非エンジニアを含む組織全体へ活用を広げた事例となります。
個人の工夫が、どのように組織的な取り組みへ広がっていくのか。その違いも含めて順番に見ていきましょう。

事例① 北海道の農家がLINEでハウスを管理

最初は、北海道・平取町にあるWFPダチョウファームさんの事例です。

農場長の冨安寛樹氏は文系出身で、プログラミングや電子工作の専門教育を受けた経験はないとのこと。
それでもChatGPTやCodexを使い、次のような仕組みを自作しています。

・LINEからビニールハウス内の温度を確認
・LINEのメッセージでハウスの窓を開閉
・日本語を英語、インドネシア語、クメール語へ翻訳
・GPSから農作業の場所と時間を記録

普段使っているLINEに組み込んだ

個人的に一番面白いと思ったのが、新しい専用アプリを導入するのではなく、普段使っているLINEに機能を組み込んだ点です。

いくら高機能なシステムでも、現場の方が使ってくれなければ業務改善にはなりません。
スタッフ全員に新しいアプリの使い方を覚えてもらうより、いつものLINEで「温度」と入力するほうが圧倒的に簡単でしょう。

技術から考えたのではなく、現場の働き方から逆算しているのが良いですね。

外注よりも低コストで作れた

ビニールハウスの巻き上げ機は、ESP32という小型コンピューターとモーターを組み合わせて作られています。

記事によると、部品代は6~7万円程度。ChatGPT Proの料金を含めても十数万円で済んだそうです。
外注すれば100万円程度かかる可能性があったとのことなので、かなりの差です。

もちろん、すべてのシステムを自作すればよいという話ではありません。
安全性が重要な設備や大規模なシステムでは、専門家に依頼したほうがよいケースもあります。

それでも「費用的に無理だから諦める」以外に、AIと一緒に小さく自作する選択肢が増えたのは大きいと思います。

参考:Business Insider Japan「北海道の非エンジニア農家がCodexで進める農業DX」

事例② OpenAI財務の月次業務が5日から5時間に

次は、OpenAIの戦略財務チームの事例です。

同チームでは、事業部門別のコンピューティングコストを配賦するために、下記の業務に毎月約5営業日を費やしていました。

・会計処理に2日
・プロダクトの利用状況分析に2日
・データをスプレッドシートやスライドへ移す作業に1日

なかなか骨の折れそうな作業です。
そこで、ソフトウェア開発経験のない財務担当者がCodexを使い、データレイクと直接つながるダッシュボードを構築しました。

結果として、約5営業日かかっていた月次業務が約5時間まで短縮されたと紹介されています。

「一発で完成」したわけではない

5日から5時間という数字はかなりインパクトがあります。

ですが、個人的には完成までの過程のほうが重要だと思いました。
担当者は約1カ月間、通常業務後の夜間にCodexを使ってシステムを構築しています。

さらに、完成後も修正内容を覚えさせたり、数値の不整合を検出する仕組みを追加したりしています。
さすがに「Codexに一言お願いしたら、翌朝には全部できていた」という話ではありません。

AIによる自動化といっても、最初は人間が業務を説明し、間違いを直し、少しずつ信頼できる状態へ育てる必要があります。

人間の仕事は確認と判断へ

自動化されたシステムは、月次アウトプットの95~98%を提供できる状態になったとのこと。
残りの時間は、定性的なコメントの確認や戦略判断に使われています。

人間の仕事が完全になくなったというより、

転記や資料作成に使っていた時間を、確認や判断へ移した

と考えるほうが実態に近そうです。

参考:BigGoファイナンス「月次決算が5日から5時間に」

事例③ NTTデータ――エンジニアの成功から非エンジニアへの展開

最後はNTTデータグループの事例です。

同社ではChatGPT Enterpriseの全社導入を土台として、Codexの活用を約9,000人の社員へ広げています。

最初の2事例と少し違うのは、NTTデータが「一人の非エンジニアによる自作事例」ではないことです。
エンジニア領域でCodexの効果が確認され、そこから非エンジニアを含む組織全体へ活用が広がっています。

非エンジニアにも広がる活用

同社では、非エンジニアの間でも以下のような使い方が進んでいます。

・大量ファイルの整理
・Excelを使った分析
・クレジットカード明細から交通費を抽出
・旅費申請シートへの転記
・生データから分析レポートを作成
・社内システムの定型操作

これまでなら、ちょっとした自動化でもシステム部門やエンジニアへ依頼する必要がありました。

Codexを使うことで、業務を一番よく知る担当者が、生データからレポートを作ったり、面倒な転記作業を自動化したりできるようになりつつあります。
農家やOpenAI財務の事例と同様、ここでも「現場を知る人が自分の仕事を作り替える」という動きが見られます。

活用拡大のきっかけは障害解析

NTTデータ社内でCodexの可能性が広く知られるきっかけになったのが、システム障害の解析です。

5人の熟練エンジニアが3日かけても解決が難しかった障害解析を、Codexが30分で処理したと紹介されています。

エンジニア領域で大きな成果が出たことで経営層にも効果が認知され、非エンジニアを含む全社展開を後押ししたということですね。

全社展開にはルールが必要

個人が自分の業務を自動化するだけなら、まず試してみるという進め方でもよいかもしれません。

しかし、利用者が約9,000人となれば話は別です。
誤操作、機密情報、個人情報、外部サービスへの接続など、考えるべきリスクが一気に増えます。

そこでNTTデータグループでは、活用ガイドに加えてセキュリティガイドを整備しています。

・どのデータを扱えるか
・どこへ接続できるか
・AIにどこまで自動実行させるか
・どの段階で人間が確認するか

こうしたルールを定めた上で、各部署の成功事例を再利用可能な形にして横展開しています。
個人や一部部署の成功を組織全体へ広げるには、便利なツールを配るだけでは不十分ということですね。

参考:OpenAI「NTTデータグループが進めるAI業務変革」

3事例に共通していること

3つの事例は、まったく同じ種類の事例ではありません。
それでも、AI活用を進める上で共通するポイントが見えてきます。

共通点① 具体的な困りごとから始まっている

いずれも「とりあえずAIを導入しよう」から始まった事例ではありません。

農家ではハウスの温度確認と人手不足、財務では毎月の転記作業、NTTデータの非エンジニア部門では旅費申請やファイル整理といった具体的な問題がありました。

AI活用のテーマを考える場合も、最新機能から探すより、普段面倒に感じている仕事を探すほうが良さそうです。

共通点② 現場知識が重要

AIがコードを書けたとしても、何を作るべきかまでは自動的に決まりません。

農業を知らなければ、ハウス管理で本当に必要な機能はわからないでしょう。
財務を知らなければ、どの数値に異常があれば処理を止めるべきか判断できません。

AIによってプログラミングのハードルは下がりますが、現場の専門知識まで不要になるわけではありません。
むしろ、現場を知っている人のアイデアを形にしやすくなったと捉えるのがよさそうです。

共通点③ 人間の確認を残している

今回の事例では、AIへ完全に丸投げしているわけではありません。
財務では結果を人間がレビューし、NTTデータでは人間が確認すべきポイントを定めています。

自動化というと、つい「人間をゼロにする」ことを考えがちです。
ですが最初に目指すべきは、面倒な作業をAIへ移し、人間が確認と判断に集中できる状態ではないでしょうか。

共通点④ 小さく作って改善している

・北海道の農家では、温度確認ボットから始まり、自動開閉、翻訳、作業記録へと広がっています。
・OpenAIの財務担当者も、約1カ月かけて修正を繰り返しました。
・NTTデータでは、各部署で生まれた活用方法をガイドや再利用可能な仕組みとして整理し、社内へ広げています。

最初から完璧な仕組みを狙うより、小さなものを作り、実際に使いながら改善するほうが現実的です。
(それが一番遠回りに見えて、結局一番早いのかもしれません)

自分の仕事で考えてみる

今回の記事を書こうと思ったのは、自分もAIニュースの収集を自動化しているためです。

以前であれば、複数のニュースサイトを開き、気になる記事を探し、タイトルや公開日、URLを表へ転記する必要がありました。

現在は収集部分を自動化し、その中から興味のある記事を選ぶ形にしています。

もちろん、北海道の農業DXやNTTデータの全社展開と同列に語るつもりはありません笑

それでも、情報収集や転記に使っていた時間を「どの記事が面白いか」「自分ならどう考えるか」に回せるようになった点は共通しています。

一方で、自動収集された記事がすべて正しいわけではありません。

企業のプレスリリース、似た内容の記事、少々出典の怪しい記事も混ざります。

最後は自分でリンク先を確認し、何を採用するか判断する必要があります。

AIに任せることで人間の仕事がなくなるのではなく、人間が時間を使う場所が変わるということだと思います。

非エンジニアに必要になりそうなスキル

「プログラミングが不要になる」と聞くと、何の専門知識も必要なくなるように感じます。
ですが今回の事例を見る限り、むしろ次のスキルが重要になりそうです。

・自分の仕事を工程に分ける力
・困っていることを具体的に説明する力
・AIの出力が正しいか判断する力
・例外やリスクに気づく力
・作った仕組みを少しずつ改善する力

これまでは、良いアイデアがあっても「自分では作れない」「開発を頼む予算がない」で止まることが多かったかもしれません。
これからは作るハードルが下がる分、「何を作るか」「本当に必要か」を考える力のほうが重要になるのではないでしょうか。

中小企業診断士の仕事でも、現状把握と課題設定がズレていれば、どれだけ立派な施策を提案しても意味がありません。
射るべき的がズレていたらお話にならないという点では、AI活用も同じですね。

最初に何を自動化するか

自分の仕事で試す場合、いきなり大きな自動化システムを作る必要はありません。

まずは次の条件に当てはまる仕事を探すのが良さそうです。

・毎週または毎月繰り返している
・手順がある程度決まっている
・複数のファイルやアプリを行き来している
・コピー&ペーストが多い
・間違っても人間が確認して修正できる

例)定例資料の下準備、ファイル整理、ニュース収集、アンケート集計

まとめ

今回は農家、OpenAI財務、NTTデータグループの3事例を紹介しました。

AIによって、プログラミングやシステム開発のハードルは一気に下がりました。

ただし「誰でも一言で完璧なシステムを作れる」というわけではありません。

今回挙げた事例のように、現場の仕事を説明し、結果を見ながら少しずつ改善していく必要があります。

まずは普段の仕事を振り返り、

「毎回同じことをやっているなあ」
「この転記、本当に人間がやる必要ある?」
「複数のファイルを自動でまとめられないかな?」

と思う作業を一つ探してみてはいかがでしょうか。

非エンジニアが自分の仕事を作り替える時代は、案外そういった小さな疑問から始まるのかもしれません。

※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとに、筆者の見解を加えてまとめたものです。記事中の効果は各社の公表値であり、同様の結果を保証するものではありません。
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